こんにちは、七海です。
「よし、なんか話書こう」
そう思っても、いきなり書きはじめるわけじゃないですよね。いや、そういう時もたまにあるけど。
大抵は色々と下準備をしてから書きはじめます。
下準備、つまりは世界や登場人物の設定を作って整えることです。
現実世界の場合は、現実に基づいて色々決めていけばいいわけですが、架空世界の物語――ファンタジーとなると、イチから考えないといけません。
好きに決めていいよ、と言いたいところですが、ある程度のリアリティはあった方が書き手は設定が作りやすいし、読んでいる人も物語に入りやすいんですよね。
リアリティある設定を作るために必要になるのが、資料です。
架空の世界のお話を書く場合、資料の数はものすごいことになります。
しかし、資料が必要といっても何を揃えたらいいのかわからない……ということが、多々あると思います。私も結構困ります。
そこで今回は、私が実際創作活動で使っている資料本の中から、比較的手に入りやすい(と思われる)ものに絞ってご紹介します。
資料は資料でも本なのは、本が一番手に入りやすく(個人の所感です)、持っている数が多いからです!
それでは、いってみましょう!
ゲームシナリオのためのファンタジー事典
この本では、ファンタジー世界を作るにあたって考えるべきことを、わかりやすく説明してあります。
国家のことから魔法のこと、人々の日々の生活まで。
戦士の種類とか、ルーン文字とか、キリスト教とか、参考になりそうな事柄の基本的なことは、だいたいまとまっています。
「ゲームシナリオのための」とありますので、ゲームを作る上でどういうふうに考えればよいか、ということも端々に書いてありました。森にはどういうモンスターが出現するか? どの職業の人が(シナリオ上で)どんな役を担うか? などといったことです。
専門的な解説というよりは、浅く広く網羅している感じです。
なので「ファンタジー書きたいけど何から決めていいのかわからん!」という人向けです。
逆に、ある程度ファンタジーに慣れていてそれなりに知識がある人には、物足りないと思われます。
いろいろ調べるときのとっかかりとして活用するといいでしょう。
個人的にいいと思うのは、武器や防具が図つきで載ってるところですね。作画資料としてバンバン活用していきたいです。
幻想世界11か国語ネーミング辞典
コンビニで出会った良書(実話)。
ファンタジーの名づけに使えそうな単語の、11か国語対照表が載ってます。11か国語の詳細は以下のとおり。
- 日本語
- 英語
- フランス語
- イタリア語
- ドイツ語
- スペイン語
- ポルトガル語
- ロシア語
- ラテン語
- ギリシア語
- アラビア語
- 中国語
これだけあれば困りませんね!
単語数も非常に多いので、一冊持っておけば名づけがかなり楽になります。
サイズも大きすぎず小さすぎず。ふと困ったときに、すぐに取り出して調べられます。
13か国語があった
今さくっと調べたら、『幻想世界13か国語ネーミング辞典』が出ていてびっくりしました。ふ、増えてる……!
真剣に購入を検討しています。
購入してみました。
ヘブライ語とエスペラント(人工言語)が新たに加わっています。
また、家具や調理器具など、「11か国語」にはなかった項目が増えています。
いよいよ西洋風ファンタジーを書くときに便利な本、という感じになっていますね。
なお、私が買ったものはところどころ印刷がおかしな具合になっていましたが、脳内補完で読めるレベルでしたので、大丈夫!
きちんと訂正表も挟まってたので、これから少しずつ改訂されて直っていくと思います。
ヨーロッパ人名語源事典
もういっちょ名づけに役立つ本。こちらは人名専門です。かなり分厚いです。
ヨーロッパの人名の「語源」についてひもとき、解説している本です。
語源以外にも、その名前を持つ有名人や、元が同じで語形が変化している名前についても解説があります。
タイトルには事典とありますが、どちらかというと読み物ですね。
名前の意味、背景を重視したい人におすすめ。
やっぱり、困ったときによく開きます。
そして読んでいくと、ヨーロッパの人名って本当にキリスト教やユダヤ教の影響が大きいんだなあ……と、しみじみ考えさせられます。
少し前の本なので、情報が古いです。といって名前探しに支障が出ることはほとんどないですが、一応ご注意を。
15のテーマで学ぶ中世ヨーロッパ史
ファンタジー世界のモデルの定番、中世ヨーロッパを勉強したいならこの本がおすすめ。タイトルでわかる通り、中世ヨーロッパについて書かれた本です。
本書では「15のテーマ」を起点として、中世ヨーロッパの制度や文化、いろんな運動について詳しく掘り下げています。
15のテーマは以下のとおり。
- キリスト教化と西欧世界の形成
- ローマ・カトリック教会の発展
- 中世後期の宗教生活
- 戦争の技術と社会
- 貴族身分と封建制
- 文書と法による統治
- 西欧的農業の誕生
- 都市という空間
- ラテン・ヨーロッパの辺境と入植・征服運動
- 衣服とファッション
- 融合する食文化
- 都市と農村の住居
- 知の復興と書物の変容
- 見えないものへのまなざしと美術
- ヨーロッパ音楽の黎明
扱ってる内容は確かに幅広いのですが、テーマ別に分けて解説してあるので、割合すっと入ってきます。
一見難しそうなテーマもありますが、「衣服とファッション」「融合する食文化」あたりは楽しそうですよね。私は食文化の章が一番好きです(笑)。
学びたいテーマから選んで読んでいくのがおすすめ。
なお、何人かの専門家による共著なので、章によって文体がちょっと違います。読みやすい文体と読みにくい文体があります。どの章を読みやすいと感じるかは人それぞれですが、文体が違うよーということだけは頭に入れて読んでください。
私は「ラテン・ヨーロッパの辺境と入植・征服運動」が読みにくくて「衣服とファッション」は読みやすかったです。参考までに。
古代ローマ人の24時間
タイトルの通り、古代ローマ帝国の帝都・ローマの人々の生活について紹介した本です。一番栄えた時期のローマの、ある24時間を追いかけています。
この本の何がすごいって、描写がものすごく細かいんです。風景は見てきたかのように、人々は目の前にいるかのように生き生きと書かれています。
冒頭の女神像と夜明けの描写を見た瞬間、私はこの本の虜になりました。
資料としてはもちろん、字書きさんにとっては描写の参考書としても使える良い本だと思います。
こちら、すっごい分厚くて大きい本です。
文庫本も出ているので、コンパクトなのがいい人はこちらがおすすめ。
余談
……本の紹介とは関係ないんですが、個人的にはこの文章がすごく心に残っています。
家族から拒絶された赤ん坊を、さらに悲惨な運命が待ち受ける場合もある。……障害があったり未熟児だったりすると、多くの場合その場で窒息死、あるいは水死させられる。さもなければ、ゴミ捨て場や人通りの少ない細い路地にひそかに運ばれ、汚水やゴミと一緒に捨てられ、衰弱や寒さで、あるいは野良犬に食われて死んでいくのだ。(『古代ローマ人の24時間』269~270ページ)
初めて読んだとき(当時中学生)、心の底からぞっとしたものです。
同時に「まあ古代だし……障害者福祉なんて概念なかったろうし……しかたないんかなあ」と思ったとか思わなかったとか。
アイルランド紀行
アイルランドの各地を巡りながら、その地にまつわる文学の訳文も紹介してくれる本です。
どこか優しい文体で、とても読みやすいです。
それぞれの章が独立しているので、目次をながめて興味のある章から読むことができます。
アイルランドの歴史の勉強もできちゃいますよ。
純粋な資料というより、雰囲気を知るための本として使っています。
ケルト人 蘇るヨーロッパ〈幻の民〉
創作活動を始めて間もなく、ケルト音楽にハマっていた頃に買った本です。
内容が少し難しいですが、かなりがっつりケルト人の歴史について解説してあります。
写真なども豊富に載っているので、資料としては十分です。
神話や民族など、どこかにケルトの要素を取り入れたいときにどうぞ。
『知の再発見』というシリーズのうちの一冊のようで、同じシリーズの『錬金術 おおいなる神秘』という本も持っています。こちらはただの趣味です。
レンズが撮らえた19世紀英国
19世紀のイギリスの風景や歴史、ファッションなどを貴重な写真と一緒に紹介してある本です。
時代と地域が限定されていますが、写真つきというのはポイント高いです。
どちらかというと作画資料として役立てやすい本ですが、当時のイギリスの身分制度や王族についてなどを解説したコラムも充実しています。
産業革命ごろ、あるいはヴィクトリア朝のイギリスをモデルにしたお話を書きたいときはかなり活躍してくれるでしょう。
なお、タイトルからもなんとなく分かる気もしますが、最初の方は写真関連の記事が続きます。読んでみればおもしろいものですが、興味のない人にはキツイところかもしれません。
図説 ヴィクトリア朝百科事典
ヴィクトリア朝(イギリス)のあらゆる「もの」について書かれている本です。上の『レンズが撮らえた19世紀英国』と一緒に使うと効果が高いです。
本当にあらゆる「もの」についての解説があります。五十音順です。
これ一冊持っておけば、ヴィクトリア朝の日常生活については、かなり詳しくなれます。
お値段もサイズもお手頃なので、イギリスっぽい話が書きたいなら購入をおすすめします。
番外編 中学校や高校で使ったかもしれないあれ
学生のみなさん……
「世界史」か「日本史」の授業がありますか?
授業があるなら、「教科書」と「資料集」は持ってると思います。
それ……ファンタジーや歴史ものを書きたい人は、捨てない方がいいですよ。
特に資料集。意外と活躍してくれます。写真いっぱいついてますし、学生向けに分かりやすく書かれてますからね。本当活躍します。
ちなみに私は……世界史Aで内容が浅かったのと、なぜか資料集を購入できなかったので、姉の世界史Bのものを譲り受けました。5年経った今でも現役です。
あと、「地理」の授業はありますか?
「地理の資料集」も捨てない方がいいですよ。
世界各地の気候とか、食べ物とかについて、いろいろ書いてあるでしょう? すごく役立ちますよ。なんなら地理の資料集の方が頻繁に開いてる、なんて時もあるんです。
私は地理をとらなかったので、姉の(以下略)
とにかく、学校で使う「資料集」系は本当に良い「創作資料」です。という話です。
まとめ
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
今回は、ファンタジーを書く時に役立つ本を何冊か紹介させていただきました。これ以外にも膨大な数の本が出回っていますが、だからこそ迷ったときの参考になればと思います。
ぶ厚い本も多いので、収納場所がない時は電子書籍で購入するのも手ですね。
知識を蓄え、フル活用し、より生き生きとしたファンタジー世界を創り上げていきましょう!
それでは今回はこの辺で。
七海でした!